• 探査等

⽉-地球間通信システム開発・実証(FS)

背景・目的

我が国は、2019年10月に、将来的な火星有人探査を視野に入れつつ、月での持続的な探査活動を目指す国際宇宙探査プログラムである「アルテミス計画」に参画することを決定しています。我が国では、この計画の下、国際協力による月・火星探査を実施するとともに、持続的な有人活動に必要となる、環境制御・生命維持システムや月周回有人拠点(ゲートウェイ)補給機の研究開発、月面での広域・長期探査を可能とする有人与圧ローバの開発、月極域探査機(LUPEX)による水資源関連データの取得等に向けた取組などを着実に実施していくこととしています。

アルテミス計画の進展に伴い、まずは2020年代から科学探査活動の一環として資源探査が行われ、水資源を含め月面における資源の存在状況を把握し、将来の活用の可能性を明らかにすることとしています。また、月面での有人活動を持続的に行うために民間事業者が地上技術を発展させて宇宙転用することを含め、電力・通信・測位システム等の技術実証と整備を段階的に行っていくことで将来的には月面が人類の生活圏となり、新たな経済・社会活動が生み出されることが期待されます。

このような状況下において、月面探査等における通信技術は、欧米等の各国でも取り組まれており、国際的に協調して共通のインフラや規格を共同利用する方向で調整が進められています。アルテミス計画における重要ミッションである、日本の有人与圧ローバ、米国の有人曝露ローバ、月面での船外活動等では4K/8Kリアルタイム映像伝送等が予定されているところ、現在、我が国においては、宇宙開発利用加速化戦略プログラム(スターダストプログラム)を活用して月周回衛星による1Gbps通信にかかる技術開発が進められており、それを補完する技術として、月探査で要求されている周波数帯及び送信・受信性能を満たす向け地上局及び月面におけるモバイル通信技術を開発し、月-地球間での大容量リアルタイム通信の実現が望まれます。JAXAは月周回有人拠点(ゲートウェイ)、有人与圧ローバ、月探査促進ミッション(LEAD)、中型月着陸実証ミッションなどにおいてNASAが開発を進めている大容量通信向け月探査向け地上局(LEGS)と同程度の機能・性能を保有する地上局との通信を前提としているものの、現状当該仕様を具備する地上局の開発計画は国内で存在しておらず、整備が急務となっています。

【参考】関連する宇宙基本計画や宇宙技術戦略の抜粋
宇宙基本計画(令和5年6月13日 閣議決定)
4. 宇宙政策に関する具体的アプローチ
(2)国土強靱化・地球規模課題への対応とイノベーションの実現に向けた具体的 アプローチ
(a) 次世代通信サービス
【Beyond5G 時代を見据えた次世代通信技術開発・実証支援】

(中略)アルテミス計画においては、月の探査活動の初期段階に通信も含めた基盤の整備が必要となるが、将来的には超長距離の通信ネットワーク技術によって、深宇宙や月との通信も可能となる。

宇宙技術戦略(令和6年3月28日 宇宙政策委員会)
3.宇宙科学・探査
Ⅲ. 月面探査・開発等
(2)環境認識と技術戦略
④ 月通信・測位技術
ii. 技術開発の重要性と進め方

将来の探査活動においては、8K等の高精細映像データや科学観測データ等の大容量データのリアルタイム通信を実現する光通信技術が有用であり、月と地球圏という長距離通信に必要な要素技術(遠距離捕捉追尾技術、高感度送受信技術、軽量大口径光学系、補償光学系)の研究開発を行うことが非常に重要である。これには、光データ中継衛星JDRS等で我が国として実証してきた技術も継承して取り組む。

月圏での通信・測位インフラの構築には、複数機の月周回衛星から構成されるコンステレーションの配備等、装置の物量の増大が予想されるが、月周回・月面への資材輸送は、多額のコストがかかるため、現実的な費用規模でのインフラ構築のためには装置自体を小型軽量化する技術(高周波・高効率RF技術等)が重要である。

月探査において、将来的に月面上に複数のユーザーや基地局、月周回軌道上にも複数の中継衛星が配備されることが想定され、そのユーザーや中継衛星もダイナミックに移動し中継の切り替えも頻繁に発生することが見込まれる。また、通信距離も長いため、遅延が発生し、通信途絶の確率も高まる。実利用に資する月通信インフラの実現には、このような宇宙探査通信の特徴である、超遠距離通信に伴う高遅延(データ送受信の遅延が長いこと)や高エラーレート(伝送データのエラー発生率が高いこと)、中継数の多さやそれらがダイナミックに移動することに伴う流動的なネットワーク接続形態の変化等に対応するために、遅延・途絶耐性ネットワーク(DTN)の高速化技術をはじめとする惑星間インターネット技術が非常に重要である。また、天候等の地上の状況によらない月と地球圏でのフィーダリンク等のための安定的な通信環境を確立することが必要であるが、現状、地球側においても地上局が世界的に不足している等の事情があることから、現状把握を含む詳細な調査を行い、月と地球圏という長距離にも対応可能な電波通信に係る要素技術(自動捕捉追尾機能等)の開発を実施し、地球地上局を含む通信設備の整備を進めることが非常に重要である。

月面・月周回軌道上で、リアルタイムに測位を行うための月測位システム技術は、月探査の運用性の大幅な向上のために、非常に重要である。月測位システム(LNSS)の実現のため、月近傍GNSS受信機やその観測量に基づく月周回軌道上での軌道決定技術、月面にいるユーザーが自分の位置や時刻の算出に用いる測位衛星から発信される航法メッセージの生成技術等を確立する必要がある。米国や欧州等においても取組が進められている中、日本も含めて相互運用性を確保しつつ、国際協力の下での月面測位実証や、月面上での測位基準局の配備等に初期段階から参画し、我が国として独自性のある貢献を果たすことが必要である。

月面に拠点を建設し持続可能な活動を実現するにあたり、月面拠点域内での通信技術の開発が重要である。WiFiや5G等の成熟した地上の技術を可能な限り活用することを前提としつつ、マルチパスや大地反射等といった月面特有の環境条件に対応した月面基地局によるモバイル通信技術等の研究開発を実施し、月面ネットワークの構築を図る。

資料

公募要領

提案書様式1-14

提案書様式8 別紙1

提案書様式8 経費内訳(a.総表シート)

提案書様式8 経費内訳(c.補助金(税抜)シート)

※提案書様式8 経費内訳は旧様式で加工されたものでも問題ありませんが、打上げ経費を計上する場合は新様式を使用することを推奨します

※委託契約に関する詳細は「契約・補助関連」ページをご覧ください

募集期間中に、資料の追加および更新がなされる場合がございます。
本事業への応募を想定する事業者は、本サイトの定期的な確認をお願いいたします。

公募説明動画

宇宙戦略基金事業 公募説明

宇宙戦略基金事業 公募説明

⽉-地球間通信システム開発・実証(FS)

⽉-地球間通信システム開発・実証(FS)

提出先

本事業は、府省共通研究開発管理システム「e-Rad」で応募を受け付けます。
詳細はこちらをご確認ください。

採択決定までのスケジュール

  • 公募開始日 2024.07.05
  • 公募締切日 2024.08.30
  • 採択結果