• 衛星等

衛星コンステレーション構築に必要な通信技術(光ルータ)の実装支援

背景・目的

2030 年代に実現を目指している次世代の通信技術であるBeyond5G(6G)を見据えて世界の開発競争が激化している中、宇宙由来の情報の増加、通信サービスの多様化、我が国の通信衛星(静止軌道/中軌道/低軌道衛星)を活用したコンステレーションやHAPS等の非地上系ネットワーク(NTN:NonTerrestrial Network)が多層的に連携することによって、過疎地域や航空、海洋領域を含むあらゆる領域でのより高速で安定的な通信ニーズが高まっています。既にSpaceXのStarlink等においては衛星に搭載可能な光通信端末の通信速度は100Gbpsに達していると言われており、B5G 時代の通信に対応するためには衛星コンステレーションネットワークの高速化・低遅延化は必須である一方で、SpaceXをはじめ、MynaricやTESAT等の事業者による光端末競争が始まり、メーカ依存性が高く様々な通信プロトコルに分散する傾向があります。これらは、今後、NTN市場が活性化する上で大きな障壁となります。さらに、B5G時代の通信に対応した衛星コンステレーションネットワークの構築のためには、標準化の動向を踏まえた相互接続性確保に加え、巨額の投資を行う海外プレイヤーとの連携を意識した多層的なNTNと地上間でシームレスな通信を可能とする高速かつ低遅延の光ネットワークルータが必要です。また、宇宙空間においては、放射線耐性や排熱手法等も必要となるため、地上装置のように単純にチップ性能を上げるだけではこれらの問題を解決することはできません。現状の耐放射線性能を有した宇宙部品では、2Gbps 程度の通信速度が限界であることから、安価で高性能な民生部品の使用も踏まえながら、宇宙環境に耐えうる10Gbps超級のネットワーク性能と消費電力を両立した光ネットワークルータがB5G時代の宇宙を活用したNTNを実現する上で必須であると考えられます。

また、衛星コンステレーションによる通信ネットワークでは、定常的に地上を含めたノード間の接続が切り替わるため、接続が切れることを定常状態として想定していない既存の地上ネットワークプロトコルでは対応が困難であり、さらに、衛星コンステレーション通信ネットワークに必要とされる経路制御は、コンステレーションを形成する衛星数やその軌道等の条件によっても異なります。このため、高信頼性低遅延通信に必要な基本的なアルゴリズムは押さえつつ、コンステレーション条件によって柔軟に変更可能であることが必要となります。

これらの背景を踏まえ、衛星コンステレーション用光通信ネットワークルータの技術開発を行い、宇宙を活用したNTNの時間的、空間的、品質的、柔軟性を向上する通信基盤技術を確立し、B5G時代の通信需要拡大にも貢献することとします。


【参考】関連する宇宙基本計画や宇宙技術戦略の抜粋
宇宙基本計画(令和5年6月13日閣議決定)
4. 宇宙政策に関する具体的アプローチ
(2)国土強靱化・地球規模課題への対応とイノベーションの実現に向けた具体的アプローチ
(a) 次世代通信サービス
【Beyond5G時代を見据えた次世代通信技術開発・実証支援】

2030年代に実現を目指している次世代の通信技術であるBeyond 5Gを見据え世界の開発競争が激化している中、陸・海・空さらには宇宙をシームレスにつなぐために、我が国が非地上系ネットワーク(NTN)を世界に先駆けて開発・実装・利活用を一体的に進めていく。それにより、現在ネットワークが整備されていない遠隔地に加え、ドローンや空飛ぶ車等の飛行体への通信サービスの提供など多様な通信サービスの実現や、地政学リスクや災害リスクに備えた強靱なネットワークの実現を目指していく。

これらを実現する基盤となる技術について、フルデジタルを始めとしたSDS技術、通信衛星とIoTの連携、Beyond5G/NTN関係の技術、衛星光通信技術等に関連する国産の技術開発・実証、通信衛星バスの小型化・低廉化を強力に推進し、必要な海外展開支援も実施していく。なお、海外展開の際には、衛星通信技術のデュアルユース性を念頭に、官民による市場開拓等、効果的な支援を実施していく。


宇宙技術戦略(令和6年3月28日 宇宙政策委員会)
2. 衛星
Ⅰ. 通信
(2)環境認識と技術戦略
①衛星間や軌道間及び宇宙と地上を結ぶ光通信ネットワークシステム
ii. 技術開発の重要性と進め方

既存の低軌道通信衛星コンステレーションが世界で競争が過熱し、周波数獲得が困難となる中、光通信は周波数資源を消費しないため、将来的には我が国による低軌道通信衛星コンステレーション構築に向けた重要な要素となる。加えて、我が国のこれまでの光通信端末や光通信システムに関する基盤技術の蓄積を活かすことにもつながる。このため、標準化を含めた海外動向を踏まえた上で、相互接続等も視野に、本技術の開発にシステムとして迅速に取り組むことが非常に重要である。


③地上系とのシームレスな連接を実現する非地上系ネットワーク(NTN)技術
ii. 技術開発の重要性と進め方

NTN構築に向けては、周波数獲得を含め世界で競争が過熱する中、低軌道通信衛星コンステレーション構築に向け既に巨額な投資を行う海外プレイヤー等との提携を通じ、海外市場の獲得も目指した取組を推進することが重要である。

中長期を見通した技術開発としては、NTNとTNとの融合に欠かせないgNodeB などのBeyond5G(6G)無線局(RAN)機能の衛星やHAPSへの搭載化技術や、周波数の効率的な利用に資する技術、多層的なNTNと地上間でシームレスな通信を可能とするソフトウェア定義ルータ、NFV、ネットワークスライシング・再生中継技術などのBeyond5G(6G)通信ソフトウェア技術の実装技術の開発について検討が必要である。

資料

公募要領

提案書様式1-14

提案書様式8 別紙1

提案書様式8 経費内訳(a.総表シート)

提案書様式8 経費内訳(c.補助金(税抜)シート)

※提案書様式8 経費内訳は旧様式で加工されたものでも問題ありませんが、打上げ経費を計上する場合は新様式を使用することを推奨します

※補助金交付に関する詳細は「契約・補助関連」ページをご覧ください

募集期間中に、資料の追加および更新がなされる場合がございます。
本事業への応募を想定する事業者は、本サイトの定期的な確認をお願いいたします。

公募説明動画

宇宙戦略基金事業 公募説明

宇宙戦略基金事業 公募説明


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提出先

本事業は、府省共通研究開発管理理ステム「e-Rad」にて応募を受け付けます。
詳細はこちらをご確認ください。

採択決定までのスケジュール

公募開始  2024年07月26日

公募締切  2024年09月12日(正午)

ヒアリング 2024年10月29日

採択結果  2024年11月22日