精密光造形を利用した高エネルギーイオン液体マルチモード小型推進機

本提案は、化学推進の高推力と電気推進の高比推力を両立するマルチモード小型推進機を開発するものである。燃焼可能な高エネルギーイオン液体(ADN・HEHN)を電気推進(エレクトロスプレー)と化学推進の共用推進剤として用い、近年急速に加工精度の向上が見られる精密光造形技術をセラミックス材料にも適用し、化学推進では推力1 N、電気推進では比推力1,000 sを推進性能の目標とするとともに10 cm × 10 cm × 30 cm、総電力50 W以下となるBBM構築を目指す。高効率・低電力・無毒化を実現し、衛星の小型・省電力化、そして、安全性向上による取り扱い易さを同時に達成する。得られた成果はEM・FM開発へ展開し、LEOでの衝突回避・軌道離脱、GEOや深宇宙探査での応用を視野に入れる。国産推進技術の確立により海外依存を脱却し、我が国の宇宙推進産業基盤と国際競争力の強化を図る。






多個体への測距同時時刻同期装置、軌道上実証と応用に関する研究開発

非同期1-Way測距(AOWR)-Alone 「自己測位」法を軌道上実証する。幾何配置に無縁に多個体の時計を実時間で同時に同期でき、事前インフラ整備を要しない。本方式の新規性、独創性、正確性は、世界一級の学術誌へ重ねて掲載され証明されている。 月探査では、輸送機搭載の時計が、月面の無線標識群の時計を同期させ、逆に自ら(複数)を測位させる。(複数)月面ローバーは、上空を飛行する宇宙機で、同標識群を鏡に映すよう測位できる。無線標識無しでも地球からの直接測位が可能になる。LuGre 等のGNSS方式に比べ、精度が 1/1000 に大幅に改善する。小天体探査での着陸、母船再会合時の測位へ応用できる。 既にドローン機実験を2回重ね、無線と実デバイスによる実証に成功している。 本方式は、GNSS高度超の、静止軌道、シスルナ域、SEL2領域で、非宇宙機関の自律的な運用を可能とし、産業応用を大きく前進させる。





推進剤搭載を不要とする、超小型衛星用「電子スラスタ」の開発

地球低軌道は1011/m3程度のプラズマが分布している。このプラズマ中の電子をアルミ合金など導電性材料からなる衛星表面で吸収し、これを1方向に加速噴射すれば電子の運動量に相当する推力を獲得可能であり、推進剤が不要なスラスタを実現できる。この推力はμNのオーダーであるが10kg級など超小型衛星の主推進や姿勢制御には十分有用である。本提案では宇宙空間での使用に耐える電子噴射加速装置を開発する。電子源としては民生用カーボンナノチューブを用いた電界放出型電子源ならびに民生用熱陰極を用いた電子源を開発し、真空チャンバー実験と数値シミュレーションで可能な限りの地上実証をおこないつつ耐久性の向上を図る。この実験の実証精度が向上するように地球低軌道環境に近いプラズマ環境の再現方法の研究開発を実施する。更に、μNのオーダーの推力で実現可能な超小型衛星の軌道運用・姿勢運用のアプリケーションを研究開発する。





宇宙機の機動性向上に資する迅速かつ確実点火可能な固体推進スラスタの研究

本提案の固体推進薬は、高エネルギー密度を有し低毒性であり保存に耐圧容器を必要とせず、配管などの複雑な機構も不要であるため、構造がシンプルで信頼性が高く安全性にも優れる。 固体推進薬を用いた推進技術は、特に超小型衛星において機動性と安全性を両立できる新たな選択肢として注目されている。 本研究では、宇宙空間特有の環境条件に対応するため、高信頼な始動性能、安定した推力発生、柔軟な運用を可能とする推進機構の実現に向けた基盤技術の確立に取り組んでいく。特に、極限環境下における確実な作動性や運用性の向上を実現するための「独自の点火技術」・「独自の推進制御技術」の要素技術研究を進める。 本技術により長期宇宙環境下でも作動可能な推進機構の実現が期待される。将来的には軌道上での推力発生の実証を経て衛星サイズに応じた製品化を進め、宇宙環境保全にも貢献する。





極低温推進剤・強磁場印加による大推力・高比推力磁化スワール推進機

本研究では極低温推進剤と電気推進の融合により、課題である低推力の克服、希少なキセノン推進剤からの脱却を果たす。推進機への強磁場印加により電子に加えイオンも磁化・直接加速し、核融合技術の応用によりイオンのみならず中性粒子も推進力として活用する。この提案者独自の推進機構「磁化スワール」により高効率・大推力を得る。推進剤にはキセノンに代え宇宙で取得可能な液体水素を採用する。水素は磁化スワールとの親和性が高く、更に強磁場を担う超伝導コイル冷却にも液体水素を利用することで、水素の利点を最大化できる。課題となる液体水素の軌道上長期利用を独自の極低温推進剤管理と数値解析を高度化し実現する。非宇宙プレーヤーを含む体制にて裾野を拡大し、産学協創にてプラズマ不安定やシステム統合等の実用面の課題にも挑む。宇宙に遍在する水素を利用し、核融合推進への発展性も有す本推進系は、持続に留まらず宇宙活動を一層拡大できる。





非接触デブリ除去を可能とする高周波プラズマスラスタ開発

本提案では、低コスト・非接触のスペースデブリ除去法開拓へ向けて、1台の電気推進機で非接触デブリ除去を可能とする双方向プラズマ噴射、および衛星加減速を可能とする噴射方向制御の機能を有する磁気ノズル高周波プラズマ推進機のエンジニアモデル開発と真空環境下での作動実証を行う。これまでは、推進機本体以外を大気中に設置していたが、高周波電源系統、ガス制御系、ソレノイド電源、ガスタンク等を全てパッケージした数100W級のエンジニアモデルを開発し、軌道上実証に向けた基盤技術を獲得する。さらには、大電力化開発として、衛星と同等の長軸スケールを有するスラスタからの双方向プラズマ噴射・噴射方向制御に関する研究開発を進める。ここではスラスタの長軸長さと作動電力帯のスケーリング則を明らかにするとともに、メートル級の長軸長さを有するスラスタ配位で30mN程度の減速力を対象物へ付与する手法を開拓する。





フォトニックランターンとシリコン導波路による2次元フェーズドアレイMIMO FMCW LiDARの開発

衛星コンステレーションの運用高度化やランデブー・ドッキング等においては、複数の宇宙機が互いの相対位置・姿勢を制御しながら高精度に協調する編隊飛行が不可欠であり、これを実現するための視覚センサーとしては、超長距離に存在する対象物検出とトラッキングによりその対象物と接近するまで的確に位置と速度を把握するLiDARが必要である。このため、超高精度な角度分解能と数m~数km程度までの超長距離・広ダイナミックレンジの距離計測をする必要がある。さらに軽量、耐太陽光、耐放射線の性能も要求される。本研究の目的は、上記したニーズに答えるため、見たいところをピンポイントで見る機能を有し、視野角が40°以上で光ビームを0.001°以下の超角度分解能でスキャンする2次元フェーズドアレイを用いた超長距離・広ダイナミックレンジのFMCW LiDARを実現する。