近年計算機の性能の向上により現在使用されている暗号の危殆化が懸念されており、量子コンピュータでも解読が困難と言われている耐量子公開鍵暗号の評価・標準化が進められている。また、将来の盗聴の脅威を払拭できる情報理論的安全な鍵共有技術として量子鍵配送(Quantum Key Distribution; QKD)のネットワーク化が世界各国で開発が進んでおり、日本、欧州、中国で量子鍵配送ネットワークが形成され、地上系QKD技術は成熟しつつある。一方、グローバルQKDの実現には、衛星搭載が現実的であり、中国では2017年に実験に成功、EUにおいても2025年に打ち上げが予定されている。我が国では衛星―地上局における見通し通信路の特徴を生かし、2024年国際宇宙ステーションから可搬地上局での物理レイヤ暗号において秘密鍵共有に成功した。この成功を基に我が国独自の小型・低軌道衛星と可搬型光地上局とでの量子鍵配送・物理レイヤ暗号及び光通信等の機能を300kg級小型衛星に実装し、効率的かつ状況に応じた鍵共有を可能とする。
Beyond 5G(6G)を見据え開発競争が激化している中、衛星通信では現在主流である静止衛星を用いた通信だけでなく、低軌道通信衛星コンステレーションを用いた通信も急速に進展しています。低軌道通信衛星コンステレーションを用いた通信をインターネットのみならずクリティカル通信等の用途に広げるためには、他社の既存システムが提供している衛星を使った地上インターネット網の延長だけでなく、新たに複数衛星を衛星間光通信で接続・連携させた「ネットワーク」を構築することが重要と考えています。このネットワークの機能・性能において、光通信端末は物理的な帯域幅を提供し、ルータは通信品質(相互接続性、高速性、安定性等)を決定づけます。そのため、弊社は「相互接続性、高速性、安定性を備えた宇宙光通信ネットワーク」の実現に向けて重要となる光ルータ基盤技術を技術開発課題として、宇宙事業だけでなく5G事業等の知見も活かし取り組みます。
衛星搭載型の高度計ライダーは、高精度な3次元地形情報の収集や森林物理量の高精度な計測を可能とするため、衛星観測の革新につながる技術として期待されている。しかし、既存の衛星搭載型高度計ライダーは、高度計測に必要な高強度レーザ光を生成するために、多段の増幅器と複雑な光学系を使用しており、光源部が非常に大型であるため、衛星内に複数の光源を搭載することによるイメージング計測を実現することは困難である。そこで、本提案においては、高輝度動作可能な半導体レーザ光源であるフォトニック結晶レーザ(PCSEL)と、大きなエネルギーを蓄積可能な固体結晶を集積化することで、従来と比較して体積1/100以下の超小型高強度短パルスレーザの実現を目指す。さらに、衛星搭載イメージング高度計ライダーの実現に向けて、上記の超小型高強度レーザのアレイ化技術およびビーム走査技術の開発を行うとともに、他の宇宙応用への適用(転用)可能性の検証を行う。
本技術開発では、高分解能かつ高頻度の3次元情報の取得が可能な光学衛星観測システムを開発し、国内外の多様な公共・産業で活用可能なデジタルツイン環境の提供を実現する。従来は実現が難しかった、デジタル空間での国土・都市・インフラの管理、リスクの予測や対処計画の最適化が行えるようになり、世界の都市のスマートシティ化、自動車・ドローン等の自動制御、正確な災害予測などが可能となる。上記システムの実現に必要となる、①40cm級高分解能・高指向精度の⼩型光学衛星、②複数機の協調運用による立体視観測および50km幅以上の広域観測、③世界最高⽔準の3次元地理空間情報の⽣成および提供からなる一連の光学衛星観測システム技術を開発する。
経済安全保障推進法にもある国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等により、通信インフラのレジリエンスとセキュリティは重要な社会課題となっています。なかでも、海底ケーブル等の地上ネットワークの人為的切断や自然災害等による通信断が生じると、社会活動・経済成⾧・安全保障に重大な影響を与えます。弊社は、レジリエントでセキュアであり、また既存のシステムでは実現できていない地上ネットワークからの独立を可能にする、光通信衛星コンステレーションの実現に必要なネットワーク技術の開発と、50年以上にわたり培ってきた宇宙開発能力を最大限活用したシステム実証に技術開発課題として取り組みます。
小型SAR(Synthetic Aperture Radar)衛星コンステレーションに期待する目標として挙げられている、国際競争力や即応性・撮像頻度ニーズを充足する機数整備のため、以下の2点を開発目標を掲げ、技術開発課題を解決する。
(a) 即応・高頻度撮像を実現する小型SAR衛星コンステレーションの構築
a-1. 量産体制の確立 量産体制の確立と、その確立に必要な衛星の量産、コンステレーションの構築
a-2. 即応性の実現 オンボードデータ処理装置や、衛星間通信の軌道上実証と、そのユースケースの実証
(b) 国際競争力のある高頻度干渉SARの実現
b-1. 高頻度干渉SAR実現に必要な軌道制御自律化技術の軌道上実証
提案者が事業として取り組んでいる迅速に高精細な観測を行える小型SAR衛星コンステレーションにおいて、早期に36機体制に構築の加速化を実現するために年間6機以上の信頼性の高い量産体制を実現し、プロダクトの競争力強化のために1機あたりの製造コスト最小化と運用コスト最小化を進め、更にプロダクト単体の競争優位性を維持確保するために刈幅拡大や高分解能化等を適用した次世代機への衛星システムのスペックアップを実現する。
また、サービスの迅速性の価値を高めるために、観測リクエストを受けてからプロダクト提供までのレイテンシの短縮を進め、小型SAR衛星コンステレーションによる多頻度観測を活かしたプロダクト高度化を実現する。
波⾧・周波数情報を拡張するセンサの社会実装に向けて、VDES/IoTデータ送受信、RFデータ収集等の複数の機能を有し、異種の衛星とも連携可能な多目的衛星コンステレーション群を構築する。あわせて、上記に必要となる50kg~100kg級の小型衛星の共通量産バス開発・量産体制構築や、異種衛星との統合運用に必要なシステム開発等を実施することを通じて、安全保障、民生利用の両面からの商業用衛星コンステレーション事業基盤の確立を目指す。
電波リモートセンシングは我が国が伝統的に得意とする技術であり、受動観測では、AMSR-EやJEM/SMILES等の実績を有す。THz波を用いると、表⾯に比べて氷の存在可能性がより期待されると共に、採掘が容易な、⽉表⾯直下浅部の情報が得られる。さらに高周波の特徴によりセンサの小型軽量化が可能となる。
本提案は、⽉⾯直下浅部に存在する可能性のある⽔氷や他の資源の有望箇所を推定する目的で①打上ランダーも含めて統合開発することで最適化した衛星センサシステムを軌道上に投入、周回軌道から広域に⽉⾯直下浅部からの放射を受信。②他探査データや地上実験等を合わせた高度な解析アルゴリズム等により放射輝度温度を精度良く決定。③その鉛直/⽔平偏波比等を用いて⽉⾯直下浅部土壌の見かけ誘電率(ABP)の導出を目指すものである。
本技術開発は、プルトニウム中に生成・蓄積するAm-241を化学分離し、その化合物をペレット化して熱源とした発熱体ユニットと熱電変換デバイスからなる半永久電源システムの要素技術開発であり、以下の7項目からなる。
(1)Amペレット及び封入ピンの作製技術開発、(2)発熱体ユニット設計・試作、(3)打ち上げ時のリスク評価、(4)大規模化に向けた装置・設備・施設の概念検討、(5)発熱体ユニットの耐衝撃波試験、(6)熱電変換デバイスの放射線耐久試験、(7)全体マネジメントとニーズ開拓。
これらの技術開発と検討を進め、実施期間内に約10gのAmを含む封入ピン1本を作製するとともに、発熱体ユニットのプロトタイプ機の設計と部品製作を完了する。並行してA型特別形輸送物承認のための試験データ取得と必要な法規制対応についても準備を進めるとともに、将来の大規模施設実現のため、宇宙分野以外でのニーズ開拓を進める。