昨今の世界的な宇宙利用の広がりにより、ロケットを高頻度に打ち上げるためのロケットの部品・機器の供給が重要な課題となっています。弊社はこの課題解決のため、ソフトウェア無線機を開発し機器供給のリードタイム短縮と低コスト化を進めてきました。この機器は、ロケット向けとLEOコンステ衛星向け無線機を共通設計にすることで、製造数量を増やし、量産効果を得ることが特徴です。
本技術開発では、このソフトウェア無線機をより多くのロケット・衛星に適用するため、多様な要求に対応できるようハード・ソフトの高機能化を行います。また、月産数十台規模の生産能力の生産スキーム確立に取り組みます。更に、本機器を実際にロケットに搭載し実証することで実績を作り、国内外・官民のロケット、衛星への提案力を強化します。弊社は、本技術開発を通じ、我が国のロケット打ち上げ能力の自律性と国際競争力を強化し、宇宙利用の拡大に貢献します。
ロケット打上げの高頻度化実現に向けては、燃料のコスト・品質、安定供給が極めて重要である。現在、当社では、家畜ふん尿由来の液化バイオメタンを地産地消型エネルギーとして供給する事業を実施している。本設備は製造能力350ton/年、貯蔵能力数tとロケット燃料需要に対し製造・貯蔵・供給能力不足である。そこでロケット需要増加に対応した高効率型液化バイオメタン(LBM)製造プラントを原料ガス調達が可能な鹿追町に建設し、以下に示す技術開発を行い、製造する製品を低コスト化することで、ロケット高頻度打上げに貢献する。
開発項目:目指す目標
ア.高効率型LBM製造システムの開発:LBM製造量1,000ton/年以上・CH4回収率の向上検討・低レート時での省エネルギー化・LBM製造コスト低減検討
イ.LBM貯槽/充填システムの開発:LBM出荷能力 50ton/日以上・製品ロス低減型LBM貯槽の開発・LBM充填システムの改良
ウ.バイオCNG製造システムの開発:バイオCNG(@19.6MPaG)を製造・バイオCNG製造システムの構築
・ロケットターボポンプは、ロケット全体の性能および信頼性を左右する「心臓部」とも言える重要な構成要素であり、その内部に使用されるシールには、極めて高い精度と安定した品質が求められます。
・本ロケットターボポンプ用シールは、基幹ロケットにおける採用実績が示すとおり、性能面では高い評価を得ています。一方で、機能の安定性および信頼性を確保するために多数の製造工程が必要となっており、その結果、生産工期および製造コストの面で国際競争力に課題を有しています。
・海外市場への展開と将来の高頻度打ち上げ需要への対応を実現するため、国際競争力の向上が重要な課題となっています。本開発では、ロケットターボポンプ用シールの量産化に向けた技術開発を実施します。
国内外でSAR衛星コンステレーションの構築が進められているが、ユーザー要求の高まり(高分解能、広域、高頻度観測等)によって衛星の大型化、大電力化が進み、難易度が上がってきている。本課題では、小電力でも高い観測品質の実現が可能な超低軌道(VLEO)への配備を念頭に、安価かつ大量生産が可能なSAR衛星を開発し、編隊飛行・協調運用により上記のニーズに応えつつ、新たな付加価値も合わせて創出する事業構想の実現を目指し、以下の技術開発課題に取り組む。
(1)平面・薄型・広域アンテナ技術を適用した次世代の高機能な合成開口レーダ(SAR)
(2)次世代SARを実装した薄型衛星SAR DiskSatシステム
(3)SAR DiskSatによる超低高度の長寿命運用
本課題で創出する事業は米国機関と連携して日米協力事業として社会実装を目指すものであり、技術実証・事業実証後には当該機関との協業により米国市場への進出を図る。
宇宙空間における物流の世界的拡⼤が進む昨今において、我が国がプレゼンスを発揮していくためには、将来の需要予測に基づく最適な物流経路の算出や経済合理性判断を⾏う、宇宙ロジスティクスの技術が不可⽋である。しかし、宇宙機の経路設計法や需要予測法は独⽴に発展を遂げてきたため、既存技術では宇宙物流の性質を正確に捉えることはできない。本提案では、宇宙空間での物流経路や市場動向を、個別および総合的にシミュレートする解析⼿法を開発する。初めに、地球低軌道から⽉以遠までを対象とした物流需要予測モデル、軌道⼒学に忠実な経路設計法、そして投⼊軌道や推進系種別に応じた輸送機の最適設計法を個別に開発する。次に、学際的⼿法でこれらを統合し、あるシナリオに対する事業成⽴性や経済効果を可視化する統合解析ツールを開発する。多様な事業者の意思決定を⽀援する技術基盤を確⽴し、コミュニティ総意としてのロードマップを構築していく。
軌道上燃料補給技術の世界的な関心が高まっているが、必要となるコア技術開発に着手している組織はまだ限られている状況である。
弊社ではK-Programにおいて既に低軌道(LEO)における化学推進薬(CP)であるヒドラジンの補給が可能なシステムとして、専用バルブを介してサービサー衛星のタンクからクライアント衛星のタンクへ燃料補給する技術検討を開始している。この技術をベースとして、より商業ニーズのある静止軌道(GEO)における電気推進薬(EP)の代表であるキセノンの補給技術の開発を実施する。開発では、効率性/安全性を考慮した燃料移送システムを設計し、地上実証までを行う。
また、SG可判断後には技術開発完了後の軌道上実証に向けた技術開発として、燃料補給サービサー衛星への上位システムの要求を検討し、要求に沿った燃料補給シミュレーションを実施する。同時にデモユニット(EM)の製造・評価を実施する。
軌道間輸送機(OTV)は、宇宙空間の効率的な物流手段として期待される。他方、既存のOTVは、地上にて搭載した積み荷を所定軌道にて分離するロケット延長線上の機能が基本であり、その汎用性と今後のロケット開発・市場需要との整合性に問題を認識する。
これら問題の解決にあたり、本計画ではPhysical AIやロボティクス等の技術も選択肢に含め、宇宙空間にて積み荷を載せる/降ろすという物流手段に必要な汎用性を具現化する自律的RPOD(Rendezvous, Proximity Operations and Docking)等の高度なコア技術及びOTV実証機を開発する。また、開発にあたっては、テーマ(B)/(C)採択事業者と連携のうえ、H3ロケット高度化とも歩調を揃え、技術ロードマップに示す段階的な開発プロセスにより柔軟かつスピード感をもって、開発成果を市場需要に応じて逐次実証する。