近年、地上インフラの宇宙利用が急速に拡大してきており、衛星運用の重要性が高まっている。これを受け、政府方針として多様化する衛星打上げ需要に対応した宇宙輸送システムを実現するため、2030年代前半までに基幹ロケット及び民間ロケットの国内打上げ能力を年間30機程度確保することが掲げられた。固体ロケットのエンジン(以下、固体モータ)は、シンプルな構造で高信頼性かつ長期保管が可能、また大推力、即応性に優れ、半世紀以上に渡り、日本独自で作り上げた技術であり、我が国の基幹ロケット及び民間ロケット、ならびにミサイル用推進装置に適用されてきた。特に、使用される材料は、特殊で少数の国内メーカが支えているのが現状である。前述、政府方針に応えるため、従来の2倍以上の生産能力拡大が必要となり、本技術開発にて製造方法を改良し、量産化体制を構築する。本成果を通じ、衛星打上げ輸送サービス事業の産業基盤を国内構築し、経済安全保障上重要となる宇宙への自律的な輸送手段の確保に貢献する。
様々なロケットに汎用的に搭載可能な小型・低コスト・高性能の統合航法装置と、様々な異常飛行ケースを地上で網羅的に模擬動作させて検証を行う共通基盤的な地上検証装置を開発する。基幹ロケット飛行安全用航法センサの実績、民間小型ロケット用航法センサの開発と製造、観測ロケットによる自律飛行安全実証により得た技術をベースに以下の開発を実施する。小型化:キーデバイスとなるGNSS受信機、慣性計測装置、自律飛行安全計算機を内製化し、統合することにより小型化を実現。低コスト化:民生技術活用による低コスト化を実現。高性能化:測位衛星捕捉数の増加とマルチパス対策機能による位置精度向上、機体の異常飛行時を含めた高レートダイナミクス対応を実現。地上検証装置:飛行ダイナミクスを模擬するGNSS/IMUシミュレータと機体の状態を模擬する機体シミュレータを連動させ、異常飛行時を含めた網羅的なロケット動作検証装置を構築。
本提案では、「高頻度打上げに対応する射場」の実現を目指し、これまでに北海道大樹町や代表機関であるSPACE COTAN株式会社が中心となって構想検討を進めてきた北海道スペースポート(HOSPO)の商業化を見据えた上で、「基盤技術開発」と「ビジネスモデル検討」を”車の両輪”と捉え、持続可能な射場・宇宙港事業に向けて総合的・中長期的な視点から検討を進める。基盤技術開発においては、JAXA種子島宇宙センターの射場機能を参考にしつつ、高頻度打上げに対応するために新たに必要となる射場機能を識別し、技術開発項目を特定する。技術実証においては、HOSPOの既存の施設設備を実証フィールドとして最大限に活用し、効果・効率的に研究開発を推進する。また、射場・宇宙港事業の商業化を見据え、先行している米国の宇宙港事業を調査し、日本の地理的環境や地域経済の状況等を踏まえた上で、技術開発と並行してHOSPOのビジネスモデルについても仮説・検証を実施する。
国内外の人工衛星市場における多様な打上げ需要に対応するために、低コスト構造かつ高頻度輸送が可能となる宇宙輸送システムを実現する必要がある。この打上げ頻度を実現するためには、従来の使い捨てロケットではなく再使用型ロケットを利用することが 効果的である。再使用型ロケットを利用する際には、打上げたロケットを回収する技術の構築が必要不可欠である。国土の小さな日本においては陸上でのロケット回収は現実的ではなく、船舶を利用し洋上で再使用型ロケットを回収する技術を構築する必要がある。本提案では、再使用型ロケットの洋上回収実現に向けた洋上回収船の要素技術として、機体捕獲技術、安全化技術、着陸用甲板開発、遠隔運用技術について検討し、その要素技術を組み合わせた試作船の作成、地上及び洋上での実証試験の実施を計画している。またそれらで得られた知見を基に、洋上回収船の概念設計を実施し、AiP(概念設計証書)を取得する。
ロケット打上げ基数増加と打上げ原価低減に向けては、推進薬タンクの製造リードタイムと製造原価の大幅な低減が必要である。左記を達成する製造技術として金属3D造形技術が挙げられるが、造形速度の観点から第一候補であるWAAM(Wire-Arc Additive Manufacturing)は造形速度が速いが、ロケット用部品にも多く適用実績のある金属粉末を用いたDEDと比較すると技術成熟度が低く、大型ロケット部品への適用に向けては①造形品質安定化、②高強度化、③造形品質保証プロセス、④大物造形プロセスの確立が 主要課題となる。
①については、インプロセス計測データ活用により長時間造形における品質安定化を図る。
②については、層間品質の改善や熱処理条件の最適化等による高強度化を図る。
③については、効率的な欠陥検査による品質保証手法を設定する。
④については、φ1~2mドーム試作でサイズUPによる造形課題を洗い出し、変形予測を活用した効率的な大型部品の形状精度作り込み手法を設定する。
本提案では、大型金属3D積層造形システムを導入し、造形時のインプロセスモニタリング・シミュレーション技術開発・実験検証を通して装置の特性を把握することにより、造形プロセスの高度化の実現を目指す。また、銅合金での造形に関して、造形時のインプロセスモニタリングや造形部品の分析を通してプロセスパラメータが造形品質に与える影響を把握し、粉末仕様・保管・造形パラメータ・再使用と言った銅合金のライフタイムプロセス確立を目指す。他国を凌駕する高度な技術開発が必須であること、さらに将来は幅広いアプリ―ションにも適用可能な高い波及効果を与えるために、国内企業、大学からなる研究体制とし、各機関が得意とする技術をリードしながら、我が国初の大型金属3D積層造形システム本体および本システムを活用した宇宙用途に適用可能な精密部品 の低コスト化、リードタイム短縮等の世界市場を勝ち抜く造形技術を開発・実証することを目指す。
熱可塑CFRPで直胴部およびドーム部を個別に成形・接合し、直径5.2m全長7.9m重量1.2t(従来比1/2)のライナーレス極低温推進薬タンクを製造可能な技術基盤を確立するため、既に開発済みの自社技術を活かし、①極低温強度が高く量産可能な熱可塑CFRPテープ材料、②マルチスケールシミュレーションによるタンクの低温信頼性予測で、手戻りなしを実現する設計技術、③Automated Tape Placement(ATP)により直胴部およびドーム部を高速かつ低寸法誤差で成形し超軽量マンホールと一体化する技術、ならびに④成形時のその場観察と成形後の非破壊検査による検査・評価技術を開発する。技術開発段階での目標値を適切に設定し技術情報を有機的に連携させるため、シミュレーションを中核とするデジタルエンジニアリングプラットフォームを構築する。開発技術の有効性を、ステージゲートにてサブスケールタンク(直径0.5m全長1.5m)で実証し、プロジェクト終了時に小型タンク(直径2m全長2.5m)で実証する。