本提案は、非宇宙分野の卓越研究者による『牽引型』であり、「宇宙での医療と一体化した居住空間開発拠点」を形成する。その柱は「予兆検知」であり、生体センサ開発とバーチャル医療基盤を駆使して心身や環境を常時計測し、AIで数日から数か月先のリスクを先取りする。低重力や閉鎖空間、通信遅延といった宇宙特有の制約下では、従来型の疾患発症後対応では不十分であり、先取り型医療基盤が不可欠である。ベテラン医師が直感的に捉えてきた“未病の兆候”を科学的に定量化し、誰もが利用可能な仕組みへと発展させる。さらに、統合した東京科学大学の学際的取り組みにより、建築分野との連携による住環境開発、スポーツ科学や再生医療との融合を通じて、大学病院の患者データを最大限に活用し、居住空間での医療統合を進める。これにより、国内で拠点化し、地上応用と宇宙実装を双方向に展開することで、日本発の国際的競争力ある基盤を築くことを目指す。
今後数年で、人類の宇宙フロンティア開拓は確実に火星に向かうであろう。今や火星は科学のみならず、宇宙開発の対象としてビジネスが創生する場となりつつある。本拠点は、日本の火星探査における喫緊課題といえる環境センサ・小型ペイロード群を産学連携で開発する。近年、応用物理、分析化学などでは革新的な高性能超小型なセンサ・デバイスが生まれており、本拠点は日本の小型着陸技術と相性のよい、これら非宇宙技術を火星に転用する。これにより有人火星時代に向けて、火星での地球並みの気象予報、人工光合成や生命検出などの水や炭素利活用、放射線など人の安全や着陸地の評価において、日本が国際プレゼンスを発揮する。同時に、民生品活用・知見共有する本拠点のコンソーシアムは、安価かつスピーディなペイロード開発を可能とし、日本のものづくりを広く宇宙に引き込み、かつ地上デュアルユースで気候や資源問題など地球規模課題にも裨益する。
本技術開発課題では、宇宙空間から複雑な都市空間、屋内空間、海中までを一貫的にカバーする次世代技術開発課題の概要PNT(位置、航法、時計)技術を研究開発し、次の50年間を支える研究開発拠点を立ち上げる。今後、地球上のあらゆる空間において自動計測や制御による分散自動化システム(ドローン、ロボットなど)、それらをつなぐ高速通信などが必要不可欠となる。高軌道の衛星測位システムをグローバルな中核的インフラとしつつ、低軌道衛星システムLEO、地上に設置されたPNTシステムなどを連携させる次世代PNT技術が不可欠である。さらにPNT技術はクリティカルな社会インフラを支えており、研究開発拠点は技術安全保障のために不可欠である。非宇宙分野の陸空海モビリティ自動化技術等を巻き込むことで、次世代PNT技術開発の一層高度化・加速化を実現し、社会を変革する。ユースケースを通じて牽引基盤としての継続的な巻き込みを実現する。
近年、地上インフラの宇宙利用が急速に拡大してきており、衛星運用の重要性が高まっている。これを受け、政府方針として多様化する衛星打上げ需要に対応した宇宙輸送システムを実現するため、2030年代前半までに基幹ロケット及び民間ロケットの国内打上げ能力を年間30機程度確保することが掲げられた。固体ロケットのエンジン(以下、固体モータ)は、シンプルな構造で高信頼性かつ長期保管が可能、また大推力、即応性に優れ、半世紀以上に渡り、日本独自で作り上げた技術であり、我が国の基幹ロケット及び民間ロケット、ならびにミサイル用推進装置に適用されてきた。特に、使用される材料は、特殊で少数の国内メーカが支えているのが現状である。前述、政府方針に応えるため、従来の2倍以上の生産能力拡大が必要となり、本技術開発にて製造方法を改良し、量産化体制を構築する。本成果を通じ、衛星打上げ輸送サービス事業の産業基盤を国内構築し、経済安全保障上重要となる宇宙への自律的な輸送手段の確保に貢献する。
様々なロケットに汎用的に搭載可能な小型・低コスト・高性能の統合航法装置と、様々な異常飛行ケースを地上で網羅的に模擬動作させて検証を行う共通基盤的な地上検証装置を開発する。基幹ロケット飛行安全用航法センサの実績、民間小型ロケット用航法センサの開発と製造、観測ロケットによる自律飛行安全実証により得た技術をベースに以下の開発を実施する。小型化:キーデバイスとなるGNSS受信機、慣性計測装置、自律飛行安全計算機を内製化し、統合することにより小型化を実現。低コスト化:民生技術活用による低コスト化を実現。高性能化:測位衛星捕捉数の増加とマルチパス対策機能による位置精度向上、機体の異常飛行時を含めた高レートダイナミクス対応を実現。地上検証装置:飛行ダイナミクスを模擬するGNSS/IMUシミュレータと機体の状態を模擬する機体シミュレータを連動させ、異常飛行時を含めた網羅的なロケット動作検証装置を構築。
本提案では、「高頻度打上げに対応する射場」の実現を目指し、これまでに北海道大樹町や代表機関であるSPACE COTAN株式会社が中心となって構想検討を進めてきた北海道スペースポート(HOSPO)の商業化を見据えた上で、「基盤技術開発」と「ビジネスモデル検討」を”車の両輪”と捉え、持続可能な射場・宇宙港事業に向けて総合的・中長期的な視点から検討を進める。基盤技術開発においては、JAXA種子島宇宙センターの射場機能を参考にしつつ、高頻度打上げに対応するために新たに必要となる射場機能を識別し、技術開発項目を特定する。技術実証においては、HOSPOの既存の施設設備を実証フィールドとして最大限に活用し、効果・効率的に研究開発を推進する。また、射場・宇宙港事業の商業化を見据え、先行している米国の宇宙港事業を調査し、日本の地理的環境や地域経済の状況等を踏まえた上で、技術開発と並行してHOSPOのビジネスモデルについても仮説・検証を実施する。
国内外の人工衛星市場における多様な打上げ需要に対応するために、低コスト構造かつ高頻度輸送が可能となる宇宙輸送システムを実現する必要がある。この打上げ頻度を実現するためには、従来の使い捨てロケットではなく再使用型ロケットを利用することが 効果的である。再使用型ロケットを利用する際には、打上げたロケットを回収する技術の構築が必要不可欠である。国土の小さな日本においては陸上でのロケット回収は現実的ではなく、船舶を利用し洋上で再使用型ロケットを回収する技術を構築する必要がある。本提案では、再使用型ロケットの洋上回収実現に向けた洋上回収船の要素技術として、機体捕獲技術、安全化技術、着陸用甲板開発、遠隔運用技術について検討し、その要素技術を組み合わせた試作船の作成、地上及び洋上での実証試験の実施を計画している。またそれらで得られた知見を基に、洋上回収船の概念設計を実施し、AiP(概念設計証書)を取得する。
ロケット打上げ基数増加と打上げ原価低減に向けては、推進薬タンクの製造リードタイムと製造原価の大幅な低減が必要である。左記を達成する製造技術として金属3D造形技術が挙げられるが、造形速度の観点から第一候補であるWAAM(Wire-Arc Additive Manufacturing)は造形速度が速いが、ロケット用部品にも多く適用実績のある金属粉末を用いたDEDと比較すると技術成熟度が低く、大型ロケット部品への適用に向けては①造形品質安定化、②高強度化、③造形品質保証プロセス、④大物造形プロセスの確立が 主要課題となる。
①については、インプロセス計測データ活用により長時間造形における品質安定化を図る。
②については、層間品質の改善や熱処理条件の最適化等による高強度化を図る。
③については、効率的な欠陥検査による品質保証手法を設定する。
④については、φ1~2mドーム試作でサイズUPによる造形課題を洗い出し、変形予測を活用した効率的な大型部品の形状精度作り込み手法を設定する。
本提案では、大型金属3D積層造形システムを導入し、造形時のインプロセスモニタリング・シミュレーション技術開発・実験検証を通して装置の特性を把握することにより、造形プロセスの高度化の実現を目指す。また、銅合金での造形に関して、造形時のインプロセスモニタリングや造形部品の分析を通してプロセスパラメータが造形品質に与える影響を把握し、粉末仕様・保管・造形パラメータ・再使用と言った銅合金のライフタイムプロセス確立を目指す。他国を凌駕する高度な技術開発が必須であること、さらに将来は幅広いアプリ―ションにも適用可能な高い波及効果を与えるために、国内企業、大学からなる研究体制とし、各機関が得意とする技術をリードしながら、我が国初の大型金属3D積層造形システム本体および本システムを活用した宇宙用途に適用可能な精密部品 の低コスト化、リードタイム短縮等の世界市場を勝ち抜く造形技術を開発・実証することを目指す。
清水建設では、金属3D積層造形技術の一種であるWAAM(Wire-Arc Additive Manufacturing)を用いたアルミ合金製の外装材製造検討と共にロケット用燃料タンクの製造検討に取り組んでいる。WAAMの大型構造物(ロケット用タンクを含む)への適用に向けては、①大物造形プロセスの確立、②造形品質向上が主要課題となる。①大物造形プロセスについては、造形設備の開発・導入を行い、インプロセス制御ソフト及びインプロセス計測装置の開発により、ロケット用燃料タンク開発に関する課題を洗い出し、その 解決策を検討する。②造形品質向上については、インプロセス計測データの活用、積層厚み安定化、ロボット空間精度向上により内部品質及び形状品質の安定化を図る。①②の成果をもとに、③供試体製作・試験を実施する。ステージゲートとして、直径2.5mのドーム試作を行う。その後、直径2.5mのタンク一体造形を実施し、供試体の常温耐圧試験を行うことを最終目標とする。